「影のFRB議長」ハセット発言：来週FRBは利下げすべき、予想は25ベーシスポイント

執筆：趙穎

出典：ウォール街見聞

ハセット氏は、FRBが来週の会合で利下げを実施すべきだと述べ、利下げ幅は25ベーシスポイントになると予想している。現在、トランプ氏が新FRB議長の指名準備を進めている中、市場の金融政策への注目度が急上昇している。

木曜日、「影のFRB議長」とも呼ばれるホワイトハウス国家経済会議（NEC）委員長のケビン・ハセット氏は、Fox Newsのインタビューで、最近のFRB理事や地区連銀総裁の発言から「彼らは今、利下げにより傾いているようだ」と述べた。彼は、長期的に「より低い金利水準の実現」を望んでいると強調し、市場が25ベーシスポイントでコンセンサスを形成すれば「私はそれを受け入れる」と表明した。

トランプ氏は今週初め、2026年初頭にFRB議長を指名する計画を明かし、最終候補者を既に特定していると述べた。最近、トランプ氏はハセット氏をたびたび公に称賛し、ホワイトハウスのイベントでも指名の可能性を示唆している。もし指名が進めば、トランプ氏の側近らはハセット氏の現職を財務長官ベセント氏が兼任する案を議論している。

しかし、ドイツ銀行はハセット氏が就任しても実際の利下げには多くの障害があるとみている。2026年中頃までに米国経済のファンダメンタルズが大幅な利下げを支持しない可能性が高く、FRB内部のタカ派の抵抗もあり、急進的な緩和政策の実現は難しいと指摘する。

長期的な緩和目標と短期的現実の妥協

ハセット氏はインタビューで、より低い金利水準の長期的追求を明確に表明する一方、現実的な姿勢も示した。連邦公開市場委員会（FOMC）が25ベーシスポイントで合意するなら、その幅を受け入れる意向を示した。

指名された場合に追加利下げを何回目指すか問われると、ハセット氏は具体的な回数を避け、「FRB議長の職務はデータに極めて敏感であることが求められる。利率調整がインフレや雇用に与える影響を考慮する必要がある」と強調した。これは、政策志向と中央銀行の独立性とのバランスを取ろうとしている姿勢を示している。

指名プロセスが加速

トランプ氏はこのところ、ハセット氏の指名の可能性を頻繁に示唆している。火曜日のホワイトハウスイベントでトランプ氏は「ここにFRB議長の有力候補がいると思う。誰がそう言えるかわからないが…有力な候補者だ。彼は尊敬されている人物だと言える。ありがとう、ケビン」と公言した。

ハセット氏自身は指名について慎重な姿勢を崩さず、「大統領は複数の候補者を検討しており、優秀な人々と同じリストに載ること自体が光栄だ。結果を見守りたい」と述べている。トランプ氏は2026年初頭に最終候補者を発表するとしている。

市場期待に現実の試練

ドイツ銀行は、市場の「ハト派転換」への楽観に警鐘を鳴らしている。同行は、2026年中頃までに米国経済の基礎的条件が大幅利下げを支持しない可能性が高く、FRB内部のタカ派メンバーの抵抗も想定されると指摘。

投資家は、急進的な金融緩和政策への過度な織り込みを警戒すべきだとする。ドイツ銀行は、最終的な政策路線は市場の予想よりはるかに穏健で中立的になる可能性が高いとみており、仮にハセット氏が就任しても政策運営には多くの現実的な制約が伴うだろうと強調している。