かつて暗号資産を「マネーロンダリング指数」と断じていたFinkは、2025年末に開催されたNew York Times DealBook Summitで「私の考え方は進化した」と認めました。この発言は市場の大きな注目を集めています。
Finkの見解は一朝一夕に変わったものではありません。ここ数年で暗号資産エコシステムは大きく変化しました。規制枠組みの強化、機関投資家の参入増加、そしてIBITのような規制金融商品の台頭により、暗号資産は初期の激しい変動期から主流への受け入れへと進化しています。
FinkとBlackRockが懐疑的な立場からBitcoinを「オルタナティブ資産」として公に認めるまでの軌跡は、金融業界全体の変革を象徴しています。
最近のインタビューでFinkは、Bitcoinとゴールドがインフレや通貨下落へのヘッジとして同様の役割を果たすことも強調しました。
BlackRockが2024年にローンチした現物Bitcoin ETF「IBIT」は、開始以来急速な成長を遂げています。現在、運用資産は700億ドル超となり、米国最大のBitcoin ETFであり、BlackRockの代表的な商品となっています。
注目すべきは、IBITのBitcoin保有量が世界供給量の3%以上に達している点です。この大規模なポジションが、Bitcoinの伝統的金融との統合と、暗号資産の機関投資家ポートフォリオにおける役割強化を加速させています。
大手資産運用会社やヘッジファンドに加え、一部の政府系ファンドも価格調整局面でBitcoin保有を増やしたと報じられています。サミットでFinkは、複数の政府系ファンドが重要なサポート水準を下回った際にもBitcoin買いを継続し、長期的な資産配分を重視していると明かしました。
こうした資本流入は、市場への強い信頼につながります。特に、暗号資産が過去に高リスク・高変動と見なされてきたことを考えると、機関投資家や政府系ファンドによる継続的な資産配分は、暗号資産の主流金融への受け入れをさらに後押しする可能性があります。
FinkはBitcoinの長期的価値に強気な一方で、リスクは依然として残ると警告しています。暗号資産は依然としてレバレッジを利用する市場参加者の影響を大きく受けており、変動性は今後も続く見込みです。
一方、業界内では議論が続いています。ETFを通じてBitcoinを保有することが分散型・自己管理という本来の原則を損なうのではないかという点です。暗号資産の伝統主義者は、ETFによってBitcoinが伝統的金融に再統合され、創設理念と矛盾すると主張しています。
この意見の相違は、Bitcoinが破壊的な存在から主流へと移行する過程で必然的に生じるイデオロギーの衝突を際立たせています。
「マネーロンダリング指数」から「オルタナティブ資産」へ――Larry Finkの転換は、暗号資産市場の構造的成熟を象徴しています。規制枠組みの強化、機関資本の流入、市場規模の拡大、金融商品の進化が、暗号資産を急速にニッチから主流へと押し上げています。IBITの成功は業界の明確なベンチマークとなりました。個人投資家にとって全体的な流れは好材料ですが、Bitcoinの高い変動性や大規模な資本流入、ETFモデルを巡る議論が今後の市場動向を左右する可能性があるため、慎重な姿勢が求められます。
暗号資産が最終的にゴールドや債券、株式のような安定資産クラスとなるかは未定です。ただし、FinkとBlackRockによる姿勢転換が、暗号資産市場と伝統的金融の統合に向けた重要な転換点となったことは間違いありません。





