航運株はまだ上がるのか?2026年の投資展望とリスク分析

海運業は世界経済の生命線であり、毎年数兆ドルの貿易流量を支えています。近年、海運株はピークから谷底へと激しい変動を経験し、多くの投資家が「海運株はまだ上がるのか?」と戸惑っています。本稿では、海運株の将来展望を深く分析し、この周期性の高い業界への投資ロジックを理解する手助けをします。

現在の状況:なぜ海運株はピークから下落したのか

海運企業の主要事業は海上貨物および大宗商品輸送です。国際貿易の絶対的な柱として、海運業はグローバルサプライチェーンを直接つなぎ、原材料、中間製品、最終商品を流通させています。グローバル化の時代において、その重要性は代え難いものです。

しかし、2020年以降の強い反発を経て、海運株は急激に下落に転じました。世界最大の海運企業マースクは2022年初に最高値をつけた後、現在では時価総額の6割以上を失っています。ドイツの海運大手ハパック・ロイドAGの下落幅はさらに大きく、2022年末の最高値から約7割の後退です。この株価崩壊の背景には、業績の激しい悪化があります。

マースクを例にとると、2022年の四半期売上高はピークの227.67億ドルを記録した後、下降の一途をたどります。2023年第2四半期には売上高が130億ドルを下回り、ピークの約6割にとどまります。利益面も著しく悪化しており、2022年中期の四半期純利益は88.79億ドルだったのに対し、2023年第2四半期は14.53億ドルにとどまり、減少率は83%超です。

このような周期的な変動は初めてではありません。海運株のパフォーマンスは、世界経済の大きな動向と密接に連動しています。経済成長期には国際貿易が活発化し、商品需要も旺盛となるため、海運株は好調を示します。一方、景気後退や不確実性の高まりにより貿易活動が鈍化し、需要が減少すると、海運株は圧迫を受けるのです。

2010年以降の動向を見ると、2015-2016年の世界経済の不確実性と過剰な生産能力が業界を大きく打撃しました。2020年のCOVID-19パンデミックは多くの海運大手の破綻の危機を招き、その後の世界的な回復により一時的に反発しましたが、2022年以降の上昇エネルギーは急速に尽きています。

将来を左右する4つの重要変数:海運株は上がるのか?

海運株の今後の反転は、以下の主要な要因の動向次第です。

第一に、世界経済の成長が最も直接的な推進力です。 米連邦準備制度はインフレ抑制のために基準金利を史上高水準に引き上げており、これが米国経済の拡大を抑制し、世界の成長も鈍化させています。インフレが正常範囲に戻ると、FRBは金利引き下げサイクルを開始します。金利低下は世界経済の回復を促し、商品貿易も再び活発化します。これが海運株にとって大きな追い風となるのです。

第二に、グローバルサプライチェーンの再構築が海運業の構図を変えつつあります。 近年の米中貿易摩擦の激化により、西側諸国はサプライチェーンの国内化・近地化を加速させています。多くの製造業が中国から東南アジアやメキシコなどへ移転しています。この動きは海運業に二重の影響をもたらします。中国と北米・欧州を結ぶ航路の需要は減少しますが、北米と東南アジア、南米などの新たな航路需要は増加する可能性があります。そのため、遠東-欧米に依存する企業(例:長榮、陽明)は圧力を受けやすく、一方で航線の分散が進む企業(例:マースク)は相対的に安定します。

第三に、エネルギーコストが直接的に海運企業の収益性に影響します。 ロシア・ウクライナ戦争や中東の地政学的緊張により国際油価は高止まりし、燃料コストが増加します。これにより、海運企業の燃料費負担が増し、業界全体の利益率が圧迫されるのです。地政学の展開次第で、コストの動向は大きく変わります。

第四に、環境規制への対応は長期的な課題であり、競争の差別化要因です。 世界的なカーボンニュートラル目標により、海運業はよりクリーンな燃料や技術の導入を迫られています。規模の大きい海運企業は、規模の経済を活かして比較的低コストで船隊のグリーン化を進められるため、競争優位を築きやすいです。一方、中小企業は環境規制への適合コストが高くなる傾向があります。新造船や既存船の環境基準適合のための投資も巨額となるため、規模の大きい企業の方が有利です。

世界の主要海運企業比較:注目すべき企業は?

多くの大手海運企業は私企業(例:スイスのMediterranean Shipping Company S.A.やフランスのCMA CGM Group)であり、一般投資家は直接投資できません。そこで、米国株や台湾株市場に上場している主要な海運銘柄を紹介します。

マースク(ティッカー:AMKBY)

1904年創業のマースクは、世界最大の海運企業です。130か国で事業を展開し、年間貨物輸送額は約6,750億ドル、従業員は約76,000人、年間コンテナ積載能力は418万TEUにのぼります。業界のリーダーとして、その規模の優位性は圧倒的で、景気循環や環境規制への耐性も最も高いといえます。

ハパック・ロイド(ティッカー:HPGLY)

1970年設立のハパック・ロイドは、ドイツ最大かつ世界第2位の規模を誇る海運企業です。約600港で運営し、130か国以上にサービスを提供。コンテナ運力は約180万TEUです。欧州を代表する海運企業として、多くの航路でバランスの取れた運力配分を行っています。

東方海外(ティッカー:OROVY)

1947年に華商の董浩雲によって設立され、1969年にコンテナ輸送に進出し、東方海外貨櫃航運に改組。150隻以上の貨物船を所有し、輸送能力は1,000万トン超。世界のトップ7に入る海運企業の一つです。2017年にCOSCOに63億ドルで買収されましたが、株式は米国の粉末市場で取引されており、世界100以上の主要都市に約130の事務所を持ちます。

長榮(台湾株:2603)

台湾の海運大手で、遠東からアメリカ、南半球、北欧、東地中海方面の航路を運営。200隻以上のコンテナ船を所有し、総運力は約166.8万TEU。世界240港以上に展開しています。ただし、遠東-米国航路への依存度が高いため、サプライチェーンの調整リスクにさらされています。

陽明(台湾株:2609)

1972年設立の陽明海運も台湾の主要海運企業です。170港以上で70か国以上にサービスを提供し、オランダ、ベルギー、米国、日本などにコンテナターミナルを持ち、5,000人以上の従業員を擁します。運力は約70.5万TEUで、長榮と同様に特定航路への依存リスクがあります。

差別化戦略:海運株の正しい投資方法

以上の分析を踏まえ、投資家は以下の戦略を採るべきです。

大手海運企業を優先的に選ぶ。 時価総額100億ドル超の企業は、規模の経済効果により、景気低迷期のコスト吸収力や環境対応の資金調達力が高いです。規模の大きい企業は資金調達も容易で、環境規制への対応も進めやすいです。一方、中小企業は景気循環の影響を受けやすく、リスクが高まります。

特定の航路に過度に依存しない企業を重視する。 長榮や陽明は優良企業ですが、遠東-欧米航路への依存度が高いため、サプライチェーンの中国離れの動きにより成長が制約される可能性があります。マースクやハパック・ロイドは航路の分散が進んでおり、リスク分散に優れています。

船隊の年齢構成に注目する。 新造や最近改装された船は環境規制への適合性が高く、将来的な規制コストやリスクが低いです。投資対象を選ぶ際は、船齢の若い企業を優先しましょう。

分散投資と長期保有を基本とする。 海運株は本質的に周期的資産です。最適な投資タイミングは、景気底や底近くでの分割買いです。歴史的に株価指数が最低水準に達し、割安感が強まったときに仕込み、ピーク時には段階的に売却します。この「安く買って高く売る」サイクルを意識した戦略が最も効果的です。

長期的な投資論理:海運株の未来展望

海運株の今後の上昇は、最終的には世界経済が再び成長軌道に乗るかどうかにかかっています。短期的には、金利引き下げサイクルが2026年頃に進展し、経済回復の条件が整う見込みです。中期的には、サプライチェーンの再構築による影響の差異が出てきます。長期的には、環境規制への対応が業界の構造を変え、大手企業の競争優位性をさらに強めるでしょう。

したがって、「海運株はまだ上がるのか?」という問いに対しては、「上がる可能性は高いが、適切な企業選びとタイミングが重要」と答えられます。投資家は、世界経済の動向を注視し、景気底付近で積極的に投資し、規模が大きくリスク耐性の高い企業を選び、長期保有の構えを持つことが成功の鍵です。特に、特定の航路に過度に依存し、リスクに弱い企業は避けるべきです。周期のロジックを理解すれば、海運株への投資は次の景気回復局面で大きなリターンをもたらす可能性があります。

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