午前2時、クリプト界隈がまた大騒ぎになった。

ビットコインは42,800付近でそこそこ安定していたのに、15分で一気に2,800ドル急落し、あっという間に40,000の大台を割り込んだ。スマホを開くとロスカットのスクリーンショットや損切りの悲鳴ばかり。何年も市場を渡り歩いたベテラン投資家でさえ「心臓がもたない」と言い、パニックムードが一瞬で広がった。

でも冷静に見れば、今回の暴落は決してトレンド転換のシグナルではなく、むしろ資金面の急なひっ迫による短期的な乱高下にすぎない。背景をしっかり理解すれば、市場の感情に振り回されることはない。

まず第一のきっかけは——米国債の発行による流動性の枯渇だ。昨日、米財務省が1,630億ドルの10年国債を発行したが、財務省口座（TGA）にはもう570億ドルしか残っていなかった。機関投資家が債券を買いあさるために資金を猛烈に回収し、市場に流れるお金が一気に足りなくなった。大手取引所のデータによると、ビットコインの流動性は1時間で42%も急減。要するに、買い注文が売り注文を全く受け止めきれず、価格が崩れるのも当然というわけだ。

第二の要因はもっと致命的——FRB（米連邦準備制度理事会）が再びタカ派発言を始めたこと。未明にFRB高官グールズビーが「今は利下げを語るのは早すぎる、インフレはまだ十分に下がっていない」と発言。この一言で、利下げ期待は60%から一気に18%に急落。ご存知の通り、暗号資産市場は流動性に極めて敏感。利下げ期待が冷え込めば、資金は即座に逃げていく。

つまり今回の下落は、本質的にはマクロ経済的な流動性の引き締めと政策期待の転換が重なった結果。短期的な痛みは避けられないが、これをブルマーケット（強気相場）終了のサインと捉える必要はない。市場はいま情報を消化中。流動性が回復し、感情が落ち着けば、今後の動きがよりはっきり見えてくるだろう。

今一番大切なのは冷静さを保ち、パニックで判断を誤らないことだ。