取引所間裁定取引ガイド（クロス取引所アービトラージ）

1.裁定取引とは？

裁定取引とは、同一資産が異なる市場で異なる価格で取引されている際に、その価格差を利用して利益を得る手法です。通常、ヘッジまたはスワップの形式で実施され、リスクを抑えながら利益を狙う極めて低リスクな投資戦略とされています。

暗号資産市場では、以下のような裁定取引手法が一般的です：

資金調達率裁定：現物市場と永続契約市場で、数量を揃えて反対方向のポジションを取り、永続契約の資金調達費用から利益を得る方法。
期-現裁定（先物と現物の価格差）：現物とデリバティブ市場に価格差がある場合、安い市場で買い、高い市場で売る。価格差が縮小した際に決済し、差額を利益とする。
現-現裁定（現物間の価格差）：同一通貨の現物価格が複数のプラットフォーム間で異なる場合、安いプラットフォームで買い、高いプラットフォームで売却することで利益を得る。
期-期裁定（異なる納期の先物同士）：同一資産の異なる納期の先物に価格差があるとき、それらを同時に売買し、価格差が縮まったタイミングで決済することで利益を得る。

2.Gateにおける取引所間裁定取引のメリット

Gateの提供する取引所間裁定取引機能は、複数の取引所をまたいで取引できるため、より大きな価格差をとらえ、最適な裁定機会を提供します。他の多くのプラットフォームが単一の取引所内のみで裁定を行っているのに対し、Gateでは以下の強みがあります：クロスプラットフォーム裁定： Gate、Binance、OKXの3つの主要取引所間で自由に裁定組み合わせを作成可能。柔軟性が非常に高いです。最適な裁定組み合わせの提案：複数の取引所の資産を組み合わせて、もっとも収益性の高い裁定構成を自動的に提案します。リアルタイムでポジション監視：裁定取引を開始した後も、口座内のポジション状況や収益状態をリアルタイムでチェックでき、リスク管理が容易です。

裁定取引ボットの仕組み（Gateの場合） Gateが提供する取引所間裁定取引ボットは、期-現裁定をベースとしています。この手法では、片方に現物、もう片方にデリバティブ（交割合約）を用い、それぞれにポジションを持ちます。価格差の例：

現物BTC/USDT価格：62,000 USDT
次期交割合約BTCUSDT（0927）の価格：65,000 USDT
現物と先物の価格差：3,000 USDT

このとき、

現物1BTCを62,000 USDTで購入
先物1BTCを65,000 USDTで売却（レバレッジ1倍、手数料考慮外）

交割時に両方の価格が68,000 USDTに揃った場合：

現物：+6,000 USDT（68,000 – 62,000）
先物：−3,000 USDT（65,000 – 68,000）
合計利益：+3,000 USDT

また、両方の価格が58,000になった場合：

現物：−4,000 USDT（58,000 – 62,000）
先物：+7,000 USDT（65,000 – 58,000）
合計利益：+3,000 USDT

このように、価格差さえ存在していれば、どちらに価格が動いても利益を確保することが可能です。

Gateで取引所間裁定取引を始める方法（Web版） ステップ1：Gate Webサイトの「取引ボット」ページを開きます。 ステップ2：取引ペアに「現物」を選択し、ボットリストから「取引所間裁定取引」を選んで、該当ページに進みます。

ステップ2：取引所間裁定ページで適切な裁定組み合わせを選択する

取引所間裁定（クロス取引所アービトラージ）ページは、主に以下の5つのエリアに分かれています。上から下、左から右の順に：トップ情報エリア裁定組み合わせ選択エリアチャートエリア（K線図）注文エリア注文履歴エリアこの中で、裁定組み合わせ選択エリアでは、現在利用可能な裁定取引の組み合わせを選ぶことができます。裁定の収益性を判断する上で重要な指標は、「価格差率」と「年率換算利回り（年化収益率）」です。

価格差率が高いほど、理論的に得られる利益は大きくなります。
ただし、価格差が大きい組み合わせは、ポジションの保有期間が長くなる傾向もあるため、年化収益率と併せて総合的に判断することをおすすめします。

ステップ3：投資金額を入力してボットを作成

注文エリアで投資金額を入力します。投資金額は、裁定取引の両方のポジション（両脚）に必要な通貨量に基づいて、それぞれの取引所にどれだけの資金が必要か自動で計算されます。入力の際には、対応する取引口座の利用可能残高を確認することができます。もし注文対象が契約（先物など）の場合は、その口座の契約アカウントの利用可能資金が表示されます。 USDT建ての期現裁定取引では、投入する資産はすべてUSDTです。もし、裁定取引のもう一方のポジションを担う取引口座が未登録の場合は、ボットを作成できません。画面の案内に従って、対応する取引口座を追加してください。「作成」ボタンをクリックすると、ボットが2つの取引口座で同時に注文を実行します。価格の変動や手数料の影響により、実際に成立する取引数量が、入力した投資額と完全に一致しない場合があります。また、両方のポジションの数量バランスを取るために、少し時間がかかることもあります。

ステップ4：裁定取引ボットの監視・管理

ボットの監視

「注文履歴エリア」では、現在稼働中の裁定取引ボットを確認することができます。ボットの詳細ウィンドウでは、以下の情報をリアルタイムで確認できます：

ポジション情報：ボットは2つの取引アカウントのポジションを同期して表示します。もし手動でポジションを変更した場合も、ここに反映されます。
初期ポジションの表示：ボット作成時のポジション規模と現在の収益状況を比較しやすくするため、このオプションを有効にすると、作成時点のポジションサイズが表示されます。その後のアカウント内の変化は表示に影響しません。
取引履歴：ボットが発注した全ての注文は、「取引履歴」セクションに記録され、いつでも確認可能です。

ボットの管理

裁定取引に使用している先物契約の満期前であれば、いつでもボットを停止することが可能です。停止時には、以下の2つのオプションから選択できます：

ポジションをクローズする（平仓）：ボットが自動的に両方のアカウントの全ポジションを決済します。
ポジションを維持する（不平仓）：ボットはポジションを処理せず終了し、その後のポジション管理はご自身で行う必要があります。

また、2つのアカウントでポジションの数量がアンバランスな場合は、「ワンクリックでバランス調整（一键平衡）」を選択することができます。この機能を使うと、ボットがポジション数量が多い側のアカウントに対してのみ決済を実行し、バランスを取ります。

ステップ5：裁定取引ボットの停止

裁定取引ボットが停止するケースは、以下の4通りがあります：ユーザーが手動でボットを停止した場合裁定取引に使用している先物契約が満期を迎えた場合、ボットは自動的に終了します裁定取引の片方のポジションがゼロになった場合、ボットは自動的に停止しますボットが運用中に価格差率を監視し、価格差がゼロに近づいた場合、自動的にポジションを決済して利益を確定し、ボットを終了しますご注意：裁定取引中のポジションが、以下のような要因によって減少した場合、ボットはその後自動決済を行いません。その場合、残ったポジションはご自身で手動処理する必要があります：

ご自身の取引操作（例：買い増し・売却・資産移動・出金など）
取引所によるシステム的な変更（例：自動減少など）

本サービスの最終的な解釈権はGateに帰属します。さらにサポートが必要な場合は、 Gate公式サポートページまたはカスタマーサービスまでお問い合わせください。